太陽光発電を導入したときに受けられる補助金について
住宅の新築時やリノベーションなどを機会に、太陽光発電設備の設置を検討することは無いでしょうか。
製造コストの削減や海外からの安価な輸入品が増加したことで設置コストがかなり下がっているとはいえ、依然それなりのイニシャルコストを必要とするのは確かです。
そのような負担を軽減するための補助金や支援制度が各種制度化されています。
もくじ
太陽光発電に関する国の補助金は縮小ぎみ
ほとんどのエネルギーを海外からの輸入に頼る日本にとって、国産エネルギーの比率を高めることは大きな政策課題になっています。
伝統的な化石燃料で発電するシステムは二酸化炭素排出量の増加という難点を抱えており、他方で東日本大震災時原発事故の影響もあって、政府もクリーンエネルギー普及拡大へと大きく舵を切ったのは必然的な傾向ということができるでしょう。
ところが国の太陽光発電システム設置に対する補助金は軒並み終了の方向にむかっており事実上廃止されているのが現状です。
国としての補助金は2009年には1kwあたり7万円だったものが、その後の2013年には1万5千円にまで段階的に縮小されて2014年3月31日には終了しています。
国レベルでは廃止されたとしても全国の自治体のなかには、太陽光発電を設置するにあたって独自の助成制度を設けているところも存在しているようです。
また自然エネルギーの太陽光発電の重要性は代わりがないので各種の別の助成制度を導入するなど、新たな取り組みが始まっています。
自治体レベルでは補助金を給付するところも
日本で住宅用の太陽光発電システムの販売が開始されたのは1993年ごろです。
発売当初の価格は1kwあたり370万円と非常に高額なもので翌年には200万円と下がったものの一般家庭で導入するにはコストが高すぎた事実に変わりはありませんでした。
1994年には助成制度がスタートし2009年には余剰電力買取制度がスタートし急速に設置コストは下がり現在では1kwあたり30万円を切る状況です。
このように導入当初に比べて設置費用が大幅に下がったので国レベルでの助成は打ち切りになっており同調する自治体も少なくないようです。
他方で地方自治体レベルでは現在でも独自の助成制度を展開しているところもあります。
コストはかなりさがったとは言えシステム設置時には初期投資のために相応のコストが必要になります。
イニシャルコストの削減するために、お住まいの自治体で助成制度が用意されていないかを一度確認することをおすすめします。
また、助成措置が廃止されてもデメリットばかりでありません。
売電価格の算定にあたっては補助がないものとして価格決定に臨む姿勢を明らかにしているからです。
太陽光発電の補助金申請するときの注意点
仮にお住まいの自治体に太陽光発電の補助金などの助成措置が存在し、運用されていることが明らかになった場合には申請を検討することになります。
それでは申請時に注意することには何があるのでしょうか。
まず申込み先が都道府県なのか、市町村単位になっているのかを確認することが必要です。
どちらに申しこむかで、後の手続きの窓口が全く異なるからです。
そしてそもそも申請資格を充たしているかを確認することになります。
一般的なやり方としては自治体のホームページなどで確認することになるでしょう。
手続きの流れはおおむね似通ってはいるものの、助成対象や受付期間・必要書類などはそれぞれの自治体によって異なっています。
10kw未満の小規模設備を対象にするものや、逆に10kw以上の大規模設備を助成対象に限定している場合もあります。
申請にあたっては煩雑なことも多いので準備のために手間取られていると受付期間を過ぎてしまう可能性もあるほどです。
そこで専門業者に依頼する選択肢もありますが、なかには代理人申請を受け付けてくれない自治体もあるようです。
そのような時は設置業者のサポートなどを受けることが必要です。
補助金以外の助成措置も検討するべき
設置コストの低下などによって太陽光発電についての助成などは終了していますが、太陽光発電に関連する助成措置は幾つか運用されています。
例えばVPP補助金と言うものがあります。
VPPとは複数の発電設備をあたかも一つの発電所のように運用するもので「仮想発電所」の異名も持っています。
例えば複数の小規模な太陽光パネルを設置した場所をまとめて運用することでより効率的な送電などを可能にするわけです。
この補助制度の対象になっているのは「アプリゲーター」と呼ばれる専門事業者のことになります。
また個人を対象にした助成制度にはZEH補助金という制度が用意されています。
これはエネルギー終始が実質0mの住宅のことで、消費エネルギーを省エネに取り組むことで賄うと言う趣旨です。
断熱性能の高い外壁やエネルギー効率の高い機器の設置をはじめ、太陽光パネルを設置するなどを組み合わせることで消費エネルギーを実質0にしようとするものです。
政府は2020年までに標準的な新築住宅でZEHを達成することを政策目標に掲げているほどです。
太陽光発電の補助金がない場合、設置すると損になるのか
このように太陽光発電単体に対する補助金などの助成事業は全体の流れとしては、縮小のトレンドに傾いていると考えて間違いなさそうです。
自治体でも助成制度を廃止していることも多くなっているので、公的な助成の選択肢がない場合もでてきます。
それではこのような状況下で太陽光発電設備を設置するのは経済的合理性があるのでしょうか。
この問題を考えるにあたっては売電価格の推移と他のエネルギーの価格動向を踏まえて判断することになります。
売電価格は右肩下がりのトレンドになっていますが、売電価格は契約を締結された時点で固定されます。
つまり待てば待つほど収益をあげるチャンスは低くなるので、早めに設備を導入したほうがメリットは大きくなると言えそうです。
また原子力発電稼働率が低いままで、国際情勢の変化によって石油や天然ガスなどは不安定な価格の動きを見せています。
日本がこれらのエネルギーの少なからずの割合を中東地域からの輸入分が占めています。
僅かな国際情勢の変化で石油価格などは高騰するリスクは常に存在しるのは確かです。
この点からも太陽光発電のメリットは明らかと言えるでしょう。
太陽光発電の補助金の今後の動向
それでは今後の太陽光発電やそれに関連する事業に対する補助金などの助成制度の動向はどのような展開が予想されているのでしょうか。
元来太陽光をエネルギーにした発電システムは数あるクリーンエネルギーの中でも容易に設置できるものです。
風力発電では選定場所が限られるうえに巨大な構造物を建築することになります。
バイオマス発電も燃料を生物由来のものを使用するだけで火力発電と設備面ではさほど代わりがあるわけでもないのです。
自然エネルギーでエネルギー自給率を上げることには相応の合理性がありました。
もっとも新規着工数は2013年のピークを境に以後は減少に転じています。
これは国の一連の助成が終了したことも影響したと見られていますが、市場自体がすでに飽和状態に陥っていると考える向きもあります。
とはいっても自然エネルギーの比率を高めることはエネルギー小国の日本にとっては常に課題になっています。
さきほど紹介したZEH(ゼロエネルギーハウス)のように今後は太陽光発電への助成は、省エネのためのトータルな設備の導入の促進に力点を移していくことになります。
二酸化炭素などを排出しない太陽光発電は、クリーンエネルギーの主軸として急速な普及を見ました。
コストの相当下がり、発電量も増加するなど一定の成果をみたので国レベルでの補助金は廃止されました。
自治体レベルではまだ運用している場合もあるので、太陽光発電設置のときは事前に確認するのがポイントです。